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Step3.友達に好きかって言われるとね
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別になんでもない、あんな奴






晴れた日。

唐突に母さんの声が響いた。


「アニスちゃ〜ん、シンクちゃ〜ん。アリエッタちゃんが遊びに来たわよ〜」


教会の入り口には、お気に入りの人形を手に持ったピンクの髪の少女が立っていた。

















アニスの行動は早かった。

かなりの勢いをつけて駆ける。

その後ろからシンクが嫌そうに歩いてくる。


「アーリエッタ!!どーしたの、いきなりっ!」


「遊びに…きたの…」


「元六神将が、勝手に来ていいんだっけ?」


「…ローズママと、一緒だから…」


アリエッタは現在エンゲーブで暮らしている。

彼女自らここで暮らす事を望んだ。

毎日チーグルの森にあるライガクイーンの墓まで通っているそうだ。

平穏な日々が続いているといっていた。

今回は、ローズがダアトに用があるというので、無理やり付いて来たらしい。


「ねぇねぇ、今日はうちに泊まっていきなよっ!アリエッタっ!」


「え…でも………」


「いいよアリエッタ。どうせこの街に一泊する予定だったんだから!折角だからお友達の家に遊びに行っておいで」


そんなこんなで、急遽アリエッタのお泊りが決定した。

















「ねぇーアリエッタ。私と一緒のベッドでいいよねー」


こくこく。


「まーまー。この前買った私用のパジャマ出してー」


「はいはいアニスちゃん」


「パパッ!ちょっと邪魔っ!!シンクとフローリアンのところ行っててっ!!」


「そうだね、そうしようか」


アニスはドタバタと家中、寧ろ教会中を走り回っていた。

それを横目に見る緑2人。

いそいそと2人にオリバーさんも近付いてくる。




「………アニス、張り切ってるね」


「張り切りすぎ。ドタバタしてて五月蝿い」


「嬉しいんだよ、アニス。ほら、楽しそうだし」


「………まるで子供だね」


忙しそうに走り回っているのに、アニスは始終笑顔だ。

そんなアニスを見て、フローリアンもニコニコしているが。

良くみればアリエッタも嬉しそうに見える。


(………まあ、喜んでるなら別にそれも構わないけど)


昔の自分なら絶対そんな事は思わなかったな、と密かにシンクは感じた。











「あー美味しかったー」


「…アニスのママのお料理食べたの、久しぶり…」


突然のお客様で、張り切って作ったパメラさんの料理を全て平らげ、満足顔の乙女達。

デザートに出されたケーキもぺロリと食べ尽くして、シンクは思わず呆れた。


「アニスもアリエッタも太るよ、そんなに食べると」


「うっさいなーシンクは。いーの!女の子は甘い物食べても太んないから!」


どんな理屈だ、と突っ込む気力さえ失われる。

未だに自分の隣で必死にケーキを貪っている同じ顔が居るから。


「ささ、皆ちゃーんと歯磨きをしてね?今日は夜更かししてても怒りませんから」


「うん!ありがとうママ!アリエッタ、こっち行こう!」


こくこく。


そう言ってアニスがアリエッタを引っ張っていった。















歯磨きが終わった後、アニスとアリエッタはベッドに入って色々な話をしていた。

布団を被っても眠たくなる事はなく、話は弾むばかりだ。


「へぇ、アリエッタってセントビナーにも良く行くんだ〜」


「…うん、マクガヴァンのおじいちゃん、とっても優しいの…」


アニスはアリエッタの話を聞いて、安心した。

どの話も、アリエッタは楽しそうに答えてくれた。

あの時の、数年前のあの時の寂しそうな印象はどこにも無い。

そこら辺も配慮して、アリエッタをエンゲーブに連れて行ってくれたピオニー陛下たちに感謝した。


「アニスは……どう?」


「へっ!?」


急に話を振られて、変なところから声が出る。

アリエッタはニコニコ楽しそうに笑っている。からかうように。


「アニスは、シンクと暮らしてて、何にもないの?」


直球な質問に、思わずアニスは赤くなる。

どんなに冷静に保とうとも、声が動揺を隠さない。


「なななな!!何にもあるわけないじゃん!!アイツはただの居候なんだよっ!居候っ!!!」


「アニス…動揺しすぎ…」


「してないもん!動揺なんて!!」


無理に返答する方が相手に本心がばれやすい事くらい知っている。

だけど、もうこれはどうしようもなくて。


「……アニス、シンクの事、好き?」


アリエッタから放たれた言葉という名の譜術、全弾アニスに命中。


「そそそそそそっ!!!そんなわけないでしょ!!!何見てそんな考え浮かんだの、アリエッタっ!!」


「………アリエッタ、ずっと前から知ってたけど」


唐突にとんでもない告白をされたものだ。

ずっと前とは何時のころかとか色んなことがアニスの頭を廻っていく。


「アニス、ずっとシンク見てたから。近くに居れば、絶対見てたでしょ?」


可愛く首を傾げるアリエッタ。

そんなに自分はわかりやすい行動をしていたのか。

というより、ずっと見てたなんて、覚えてない。

無意識に見てた、というのはそれはそれで恥しいものだ、物凄く。


「……ねぇアニス、シンクの事、好き?」


先刻と同じ質問。

だけれど、この可愛らしい少女から逃げる術は無いと思った。


「……うん、好き…だと思うよ。…あーもうっ!!アリエッタだけだかんね!こんなこと言うのっ!!!」


今の自分は最高潮に真っ赤だ。そんな自信がアニスにはあった。

それを見て、アリエッタは嬉しそうに笑っている。


「なーにが面白いのっ!アリエッタっ!!!」


「…アニス、今凄く可愛い」


またアニスが赤くなる。

もう両頬は沸騰寸前だ。

アニスの羞恥心ももう限界に来ていた。

そして。


「か…可愛いっていうなぁっ!!!!」


夜のダアトにアニスの叫び声が木霊した…。









トクナガ巨大化。大暴れ。













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アニスの友達って言ったらアリエッタかフローリアンしか思い浮かばなかった。
次のお題はアリエッタに登場する予定だったんで、こっちもアリエッタさんに登場してもらいました。
ED後のアリエッタはエンゲーブでローズさんと一緒に暮らしています。
よくチーグルの森まで行って、ライガ・クイーン達のお墓参りもします。
ローズさんにくっついて、1週間に1回はセントビナーにも行きます。
マクガヴァン元帥は、アニスを実の孫のように可愛がってくれているようです。
そして何より、アニスとアリエッタはお友達として復活してます。
そんな私の理想が詰まってます。
アニスさん、アリエッタさんに勝てないご様子。
アリエッタにだったら素直にシンクが好きって言えちゃってますよ。
そんな2人の親友関係に一票(ってかこれシンアニ?)



2006.3.26