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2.愛情表現間違ってますか
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お互い不器用だから、これは間違いじゃない











大聖堂。


光り輝くステンドグラス。


折り重なる男と女。


こんな妙な設定ってあるのかな、と不謹慎にも思う。











「……何処に意識飛ばしてんのさ、アニス」

「……別に。ただ、何でこんなとこでこんな事になってんのかなって思ってさ」

「なに?じゃあ部屋でやりたかった?フローリアンの隣で?」

シンクはそうやって笑い、アニスの首筋に噛み付く。
少し痛くて、アニスは身を捩った。
噛み付かれたところを舐められると、妙に身体が火照る。
声にならない声が、アニスの口から漏れる。

「……声、抑えないと、見回りの奴らに聞こえるよ?」

「だったら……こんなとこで、しないでよっ!」

「五月蝿いな、少しは集中できないの?」

出来るわけ無い。
だって警備の人の足音が近付く。
こんな所、見られたくないし。
声なんか出したくないのに、シンクはしつこく今度は反対側に同じことをする。
精一杯の精神力で声を我慢するが、それでも限界がある。
しかし幸いにも、足音はだんだん遠ざかっていった。

「……残念」

「……っ……馬鹿ぁっ……」

今度は舌を首から耳に運ぶ。
アニスが一番そこに感じる事を、シンクはよく知っていた。
まず息を吹きかけ、ビクンと震えるアニスを見て満足そうに笑う。

「アニス、ここで一番感じるよね……。舐めて欲しい?」

わざと耳元で囁くように。
背中がゾクリとし、言葉では言い表せない感覚に溺れる。
それがシンクをますます喜ばせるだけだというのも判っているのに。
耳をゆっくり舌で犯されながら、シンクの手はアニスの背中に移る。
服の隙間から手を入れられ、素肌を細い指で弄られる。

「ふ……ぁ……はぁっ……!」

「そんなに気持ちいい?」

痺れる感覚。
麻痺する思考。
ただただシンクの愛撫に身を任せる。
ふわふわ浮いた感覚に包まれる。

「……今度、アニスの番」

そう言ってシンクは自分の首筋をアニスに差し出す。
先刻されたように、アニスはシンクの首筋に顔を埋めた。
人の首に歯を立てるなんて、慣れてない。
だけれどシンクは毎回ソレを強要した。

「や……ちょ……やっぱり、無理だって!」

「何?この前もやっただろ、それともやり方忘れた?」

もう一度ボクがやってあげようか?と意地悪く笑うシンク。
アニスの頬が恥辱で赤く染まる。
再びアニスがシンクの首に顔を近づけ、一瞬躊躇し、噛み付いた。
そして先刻シンクがアニスにやったように、噛み付いた部分を舐める。
シンクが小声で呻き、アニスも顔を首から離す。

「……っ良く出来ました」

必死で頑張って、アニスは頭をぽーっとさせている。
しかしシンクはそんな事お構いなしといった感じで、今度はアニスの胸に顔を埋めた。

「……っ!」

イキナリの事に、アニスは一気に意識を覚醒させる。
胸元の服を肌蹴させて、その白い肌に赤い印を幾つもつけていた。
一生懸命シンクを引き剥がそうど努力するが、基本的に男と女。力が違う。
戦闘での攻撃力には自信があるが、それは相棒・トクナガあっての話だ。
格闘家であるシンクに敵うわけも無い。
痕をつけながら、シンクが悪態をつく。
しかも気にしていることを。

「……本当に17歳?小さすぎるんじゃない、胸」

「……っうっさいっ!!!いいのっ、これから……大きくなるからっ……」

確証は、無い。
そういえば、ママも小さかった気が……という呟きは幸いシンクの耳には届かなかった。
痕をつけ終えたシンクは今度はその肌を音を立てて舐めている。
それだけでアニスが紅潮するのは言うまでも無い。

「別に……ボクは大きさなんて……気にならないから、構わない……けどね」

「……ティアなんかより……ぜぇったい、大きくなってやるんだからっ!」

「……無理だな」

呆れたように言うと、やっと胸元から顔を離してくれた。
すると最初に右頬に、次に左頬にと甘いキスを落とす。
先刻までとは全然違う、シンクらしくない甘いキス。
くすぐったくて避けようとするけど、それも敵わない。
暫くその甘い時間を過ごし、どちらかともなく立ち上がる。

「……もう寝なよ。ただでさえ背が低いんだから」

「シンクもね。……おやすみなさい」

シンクの長い前髪を分けて、額に口付ける。
最初は嫌がったが、アレだけ好き勝手にやらせてあげてるんだから、と言い包めた。
外を見ると、まだ月は空高く、星々は光り輝く。
明日朝出会っても、今夜の事は知らん振り。








これが私達のあいじょうひょうげん。





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激しく題名が関係あるのか?と問いたくなる(自分だろ、書いたの)
シンク的愛情表現は『相手の嫌がるような事をしつつ、気持ち良くする』って事らしい。
流石天下の天邪鬼。
しかも絶対口にはキスしないとか。
っていうか、エロなのこれ?
私的にただチューしてるだけなんだけど。
だってまだ18歳と17歳でしょ!
責任取れないのに駄目ですよぅ。(もっともな事を言ってみる)
私の中だと、夜のシンクはキス魔が良い。
でもお互い気持ち良いとか具体的なこと言わないんだよね、きっと。



2006.2.20