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2.果てしない空
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この大空を、貴方と一緒に居られるなんて









「暖かいですわね…」

久々の休み。
そう考えるとこんなゆっくりとした時間一緒にいるのはなかなか無かった気がする。
国の建て直しの最中だ、そうそうゆっくりなどしていられない。

「そうだ、アッシュ。レプリカの皆さんの村が大分落ち着いたと先ほど報告を受けましたわ」

世界から瘴気を取り除いたあの時約束した通り、残されたレプリカ達はキムラスカ・マルクト両国でその存在を認めた。
街で普通に生活を求めるレプリカも少数居たが、大体の者がレプリカ達の独立した居住区を求めた。
いくら国に認められたからと言っても、実際受け入れられるのは難しい。
だから彼らは、少しずつ世界に慣れていく為に彼らだけの生活から始める事にした。

「彼らは知識の吸収力が高いと技術者の方々も驚嘆していらしたそうですわ」

「…ふん、それではあの馬鹿のマヌケさはやはりアイツ自身のせいだった、というわけだな」

「あら、ルークは誰のレプリカでしたかしら?どこかの誰かさんとソックリだったと私思いますわ」

ナタリアがツンとそういうとアッシュが言葉に詰まる。
少し赤くなってるところもみると、少々自覚はあるのだろう。
その姿を見て、ナタリアはくすくす笑った。

「でも、夢のようですわね…」

あの戦いの日々からそう何十年も経ったかのように感じる。
あの戦いは確かに辛かったけれど。
無くしたものも取り返した。
変わりに得たものも、確かにあった。

「…ふん、夢で終わらせてたまるか…」

夢で我慢できるわけがない。
寧ろこれが夢だった時の方が恐ろしく思う。
あの暗闇の中を皆で突き進み手に入れた、光。
この青空を一緒に見る事が出来る、光。

「あら、私だって夢で終わらせるつもりは、毛頭ありませんわ」

ナタリアはアッシュに微笑み、彼の手に自分の手をそっと触れる。
アッシュは赤くなり、だがその手を力強く握り返した。
二人は手を握ったまま、空を見上げた。



















この手は、隣に居る、何よりも大切な人に触れられる。


一度は途切れてしまった手を。


二度と離さないと誓った手を。


この果てしない空の下、二人永遠に一緒に居られるのならば。


これ以上の幸せなど、到底思いつかない。


国の事ですら、一瞬頭から消えてしまうから。


この果てしない空のように、永遠に。















そしてその初々しい純情カップルを陰から見守っているファブレ家使用人及び騎士団の方々に。
アッシュたちが気付くのは数分先のこと。






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わわ、久しぶりの更新。
しかもわけが分からない。
しかも短い。でもこんくらいが一番書きやすい…。
所詮まりんですから。
アッシュとナタリアはきっと激務が続いていると思われるので、空でものんびり眺めてラブってて欲しいです。
あおーい空を見ていると、これってどこまでも続いてるんだろうなーとか思ったりしませんか?
まりんはしますが。そうですか…しませんか。
一応このアスナタ編が一番に終わる予定なんですよ。
というか、このアスナタ編が終わらないと他の2つが終われない理由っていうのがあるんです。
これは一応連作なんで、途中から話が繋がるんですね。
では、マイペースに進めていきたいです。ん。


2006.08.13