〜May〜



快晴快晴っ!!
やっぱり晴れてると気持ちがいいなぁ。
でもそんな日和ももうじき終わり。今度は梅雨が来るー…。
うー…考えただけでもう億劫だぁ…。髪の毛まとまりにくいんだよねぇ…。

「あ、大塚さん。おはようございます。毎回毎回スイマセン」

「あら廉ちゃん、おはよう。いいのよ、仕事だから。さてと、先生は……」

お兄ちゃん、昨日徹夜か…。きっと大塚さんが眠らせてくれなかったんだろう。
……何か、そんな風にいうとやらしく聞こえるな…。
あれ?でもすんごい寝息が聞こえてくる。…終わったのかな?
部屋の中に入ると、お兄ちゃんは机の上で大爆睡していた。
部屋はもう散らかり放題。……誰が掃除すると思ってるんだろう。

「先生、起きてください。終わったんですね?だから寝てるんですよね?」

私は恐る恐る机の上にあるパソコンに目を向ける…。
なぁんだか嫌な予感がするんだよねぇ……。

「あ、………全然終わってない」

パソコンに打ち込まれた文章は中途半端なところで途切れていた。
これで『終わったっ!』と言える小説家なんて絶対居ないだろう。

「……先生?終わってないんですね?終わってないのに寝たんですね??」

うわ、大塚さんの顔が鬼に変わった。これは危険だ。
私は一生懸命お兄ちゃんを揺らして起こそうと試みるが、
余程眠いらしく、お兄ちゃんは私の手を払いのけてまた爆睡体制に入る。

「いや、お兄ちゃん。起きた方がいいと思うよ?私の為でもなく、貴方様の命の為に」

でももう遅い。
鬼担当、もとい大塚上総の怒りの雷が早朝の相模家に落ちた。



……翌日



「お兄ちゃんのせいだからね、キャンプが1日少なくなったの」

「俺のせいじゃねぇ。キレて半日も無駄な時間を割かせた大塚のせいだ。 ったく、俺の予定では昨日の3時には終わってる予定だったのに……」

結局、原稿が終わったのは深夜3時で。
大塚さんはやっと何時もの笑顔を取り戻して、帰って行きましたさ。
そして現在は車の中。しかもワゴン車だ。
運転してるのは海斗さん。
お兄ちゃんも運転できるけど、徹夜明けの人に運転させるなんて危ない真似はしたくない。
というか死にたくない、まだ。
昨日と今日、そして明日は5月最大のイベント、GW。
私の家と真昼の家、そして海斗さんの5人は毎年この休みにキャンプに行くことにしてるのだ。
本当は昨日中にキャンプ場に着く筈だったのに、お兄ちゃんのせいで出発が遅れたというわけだ。

「まあまあ、廉ちゃんもその辺にしといてあげなって。栄治が約束を破るのは 今に始まった事じゃないんだから。僕も華南も、もうすっかり慣れっこだよ」

「そうそう。それに今から遅れた分を取り戻せばいいじゃない。楽しみましょうね、廉ちゃん」

「……むぅ、二人がそう言うなら……」

海斗さんの優しい笑顔と華南ねぇの聖母の微笑みには敵わないよ。
確かに何時までも怒ってたら、全然つまらないしね。

「あぁ、そろそろ見えてきたぞ。あそこが今回のキャンプ場」

目の前には綺麗な水が流れる湖が広がっていた。
もういくつものテントが見える。
わー、凄い楽しみ。
荷物降ろしは男性陣に任せて、私は華南ねぇと二人で川近くまで歩いた。

「わぁ!!凄く綺麗っ!!キラキラしてるー。華南ねぇ、何処にテント張る?」

「うーん………あ、あそこにしない?湖がよく見えるわ」

華南ねぇが指した所からは本当に湖がよく見えた。

「うんっ!ここがいい!」

私は自分の直感で決めて、お兄ちゃんたちを呼んだ。
え?テント張り?男の仕事でしょ。
私と華南ねぇはお昼も近いということがあって、お昼の準備を始めた。
でも材料は使わないよ、だってお昼は作ってきたもん。
2人で作ったサンドウィッチを車から運び、折りたたみのテーブルを組み立てる。

「おい、テントは張り終わったぞ。お前ら昼はまだか?」

ちっ、五月蝿いなぁ。どうせ海斗さんに殆どやらせたんでしょうがっ!!!
嗚呼、我が兄ながら本っっ当に情けない…。
…おっと、でもさっさとしないとな。遊ぶ時間まで減ってしまうっ。
でも、こちらも丁度準備が整ったところだった。

「準備終わったよーっ!早くたーべーよーっ!!」

私は威勢良く、そう叫んだ。





「んーvv満腹満腹、我は満足なりーvv」

「…そりゃそうだろ、サンドウィッチ4つも食べれば…」

「おい、ちび娘。豚になるぞ、豚に」

むぅ?真昼とお兄ちゃんが何やら言ってますかな?
でもお腹一杯で気分最高の廉ちゃんには何を言っても無駄なのだー。
暫く皆で話していたが、時間を見計らって私はすくっと立ち上がる。

「あら?廉ちゃんお出かけ?」

「……うん。これから始まるのは、大いなる対戦。勝つか負けるか、生きるか死ぬか瀬戸際の戦い。 …私は、今日という日をどれだけ楽しみにしていた事か…」

「もったいぶった言い方すんなよ、ただの釣りだろ、釣り。毎年んな事言ってんじゃねぇか」

「う・る・さ・いっ!!!人の楽しみを馬鹿にしないでっ!!さぁてvv一杯釣るぞぉvv」

実は私、かなりの釣り好きだったりする。
だから毎年のこのキャンプは大好きなのだ。

「あら、一人で大丈夫?真昼も付けましょうか?」

そんな、華南ねぇ。真昼はお菓子か何かの付属物じゃないんだから…。
真昼はそんな姉の言葉にちょっと傷つきながらも、よいしょと席を立つ。

「あれ?珍しい、一緒に行ってくれるんだ」

「まぁ、やる事もないし。じゃあ、ちょっと行ってくる」

「いってらっしゃい。夕飯までには呼びに行くから」

「おー…気をつけろ。俺としては魚に集中しすぎて湖にドボン、なオチを期待してる」

やっぱり優しいなぁvvv海斗さんは。
お兄ちゃんとは大違い。私は海斗さんの妹として生まれたかったよ。
それはさておき、バッチリ用意してきたMY釣りグッツを抱えて、
私と真昼は湖の方に歩き出した。
まだ午後に入ったばかりだから目一杯釣りが出来るぞぉvvvv
餌で釣る時もあるけど、今回はルアーにしておいた。
だって真昼、虫好きじゃないんだもん。
ルアーも付け終わったし、私はなるべく遠くに、竿を振り下ろした。

「…………」

「…………」

「………なぁ」

「………なぁに?」

「………それ、楽しいか?」

「うん。真昼もやる?」

「…………やめておく」

あー、やっぱり退屈そうだねぇ真昼。
私は魚(と書いて獲物と読む)を待つこの時間も好きなんだけどなぁ。
こう、のんびりとしていて楽しみがあるじゃないか。
風景を楽しんだり、静かな自然の音に耳を傾けるのとか。
でもやはり暇なのか、真昼は手短なところにあった石に手を伸ばし、湖にポチャンと投げた。

「………やめてよ、魚が逃げるから」

そう言った私に、真昼は不機嫌そうな顔を向けた。









「ねぇ海斗、この森、本当に素敵ね………」

森の中は本当に綺麗だった。
僕と華南は森を歩いていた。
木々の間から見える日の光は優しく、光を受けた葉が地上を淡い緑に染めていた。
僕らはその緑の道を歩いた。手を繋いで。
何となく、華南と手を繋いで歩くのが好きだった。
ホッとするというか、何というか。
気恥ずかしくて決して華南には言えないけど、もしかしたら彼女は気づいているかもしれない。

「………こうやって歩くのも久しぶりだね。…最近はあまり会いにいけなくて、ごめん」

「ううん。私も海斗も忙しいって分かってるもの。それより、今一緒に居られて、 今一緒にこうやって歩いていられるのが嬉しいから。だから、大丈夫だよ」

こんな関係を、もう何年やっているのだろう。
告白したのは、出会って2年くらい経った後。
でも、好きになったのは出会ってすぐだった。
なかなか言い出せなくて、こんな気持ちになったのは初めてで誰にも相談できなかった。
それを見破ってくれたのが、親友の栄治だった。
栄治があの時僕の後押しをしてくれなかったら、今の関係はなかっただろう。

「栄治、頑張ってるみたいだね。小説家なんて凄い職業につくとは思わなかったよ」

「えぇ、私も。でも何時も今日みたく〆切破って、担当さんに怒られてるのよ」

華南の話によると、栄治はその担当さんに頭が上がらないらしい。
僕と華南が話していると、かなりの確率で栄治の話になる。
それだけ、2人にとって大切な友人だから。唯一無二の、親友だから。
そんな風に2人で話していたら、少し広い場所に出た。

「………わぁ、……綺麗………」

思わず、口から出るほどの美しさだった。
湖がよく見えて、キラキラ光っていた。
暫くお互い何も言わず、じっとその風景を眺めていた。
……よし、雰囲気的には、いいぞ。

「……華南、あの…今更、何だけどさ。………結婚の事、どう考えてる?」

僕は、今一番華南に聞きたい事を口にした。
婚約は、とっくに済ませている。けど籍はまだ入れていない。
お互いの生活が精一杯で、流れに流れてしまっていたのだ。
だから、この場で切り出したのだ。
不安だった。華南が、心変わりしていないか。

「……僕は、今でもあの時と変わらない。……君の気持ちが、知りたいんだ」

びくっと華南の肩が揺れた。多分、華南も同じ事を考えていただろう。
じっと、華南の目を見つめる。本当の答えが欲しくて。
華南は何も言わなかった。ただ、僕の目をじっと見ていた。
華南が何かを言おうとした、その時、華南の携帯のアラームが森に鳴り響いた。

「あっ…、もうこんな時間だったのね…。夕飯に間に合うように、時間をセットしておいたの」

「…そっか、じゃあもう戻ろう。廉ちゃんと真昼君も呼びに行かなくちゃ」

「え…でも…」

「……この話の続きは、また今度にしよう。2人きりで、ゆっくり話そう。今は皆で楽しまなくちゃ。……ね?」

「そう、ね。大切な事ですもの。あ…じゃあ私、廉ちゃんと真昼を探してくるわ。海斗は栄治を起こして、バーベキューの準備をしておいてね」

「あぁ、分かった。気をつけてね、すぐ暗くなるから」

そう言って僕は華南と分かれて歩き出した。
……本当は今聞きたかったけど、何故か聞けない気がした。
それに、焦っちゃいけないから。ゆっくり歩み寄るのが、僕らのやり方だから。
それまで、きちんと華南が話してくれる時まで待とう。
そう、決めたから。









「…はぁぁ、嫌だなぁ」

私は思わず、そう声に出していた。
周りに居るお兄さん方は、その言葉に反応してあからさまに不機嫌になる。
あの後すぐに真昼はどっかに行ってしまった。
そのうち戻ってくると言ってたんで、ずぅっとこの場で釣りをしていたのだ。
ちなみに釣りは、結構大漁v夕飯に出しても申し分ない量は確保していた。
さてそろそろ夕飯の時間だし、真昼も帰ってくるかな?と思っていたら。
この何処にでもいそうな安っぽいチンピラさん方が出てきてくれちゃったわけですよ。

「だからさぁ、女の子がこんなところに一人で釣りなんてサミシーからやめよーヨ」

「俺たちと一緒に遊びに行こうぜ。絶対そっちのが楽しいって」

「ほらほらー、シカトしてないでさぁー」

何かこう、もっとハキハキ喋れないものなのだろうか?
でも相手にしてあげる必要も無いので、あえてシカト。もう勝手に喋っててください状態。
だけど、そろそろチンピラ軍団も痺れを切らしてきたらしい。
私は絶対悪くないんだけどなぁ。
どうやって逃げようか考えていると、とんでもない人がこっちに向かってるのが見えた。

「あぁ、よかった見つかって。廉ちゃん、そろそろ夕飯よ、あら?真昼は?その人達は?」

前から思ってたけど、かなりのんきだよね、華南ねぇ。
こーいうところに笑顔でこれる華南ねぇは、のんきなんだか大物なんだか時々分からなくなる。

「あれぇ?このお姉さんも君のオトモダチ?美人だねぇ。あ、もしかして姉妹?」

「いーねー。お姉さんも一緒に遊ぼうよー」

一人の男がそう言って華南ねぇの腕を掴む。
華南ねぇは驚いて身を引くが、更に男に強く握らせる結果となってしまった。
む。これはちょっとよろしくないぞ?

「ちょーっとっ!!!その汚い、ってかどっちかっていうと穢れた手で 聖母のような華南ねぇに触れないでよっ!!!!気持ちが悪いでしょっ!!!!」

今まで何にも言わなかった私がイキナリそんな暴言吐いたので、チンピラ軍団は目を見開く。
でも、華南ねぇの腕は掴んだままだ。

「華南ねぇの腕を放せっての。掴むな、触れるな、どっかいけ」

別に私、この人達をやっつけられる自信があるとかじゃありません。
でも人間にはムカついてどうしようもない時などというのが存在するのです。
こいつらがここで騒いでくれたおかげでちっとも魚が釣れなくなったのも要因だろうけど。

「あの……離してくれませんか?他に連れもいますので……」

流石華南ねぇ、冷静な対処。
でもね、こいつらにはきっと何言っても無駄だと思うよ?
だって、素直に言う事聞いてくれるようないい子ちゃんには見えないもん。
なぁんて考えてたら、後ろから別の男に私も捕まってしまった。
うはっ!!!一生の不覚っ!!!

「いーやー。はーなーしーてー」

「でかい声で騒ぐんじゃねぇ!!ったく、ちょーっと遊ぼうって言ってるだけなのに…」

それが嫌だって言ってるんですよ、お兄さん。その『ちょっと』の時間でもね。

「……本当に、止めてください。困ります。早く戻らないと心配もするだろうし…」

あ、そうか。呼べばいいんだ。気がつかなかった。
そーっとポケットの携帯に手を伸ばしたら……。

「華南に、廉ちゃん!?……一体どうしたんだ?」

わおvvナイスタイミングっ!海斗さん!!もしかして以心伝心って奴ですか?
最初、突然男が出てきて明らかに動揺していた男たちだが、
海斗さんの風貌を見て自分たちより弱いと思ったらしく、妙に強気だった。

「この2人は、俺たちとこれから遊びにい・く・の。おにーさんは付いてこなくていいよー」

「……2人を放してください。……怒りますよ?」

………海斗さんの怒ったところ、見たことないかも。
でも男たちは私たちを離そうとはしてくれない。。むしろ更にぎゅっと掴まれる
うへぇぇぇぇぇ、き…気持ち悪いぃっ!!!!
ちょっぴり汗かいてて、ぬめぬめしてるぅぅぅぅぅぅ!!!!
マジで泣きそうです、気持ち悪く過ぎて。
華南ねぇは、やはり痛いのか顔をしかめていた。華南ねぇ、腕細いからな…。
そんな姿を見て、海斗さんは静かに怒っていた。
何で分かるかって?威圧が凄いんだもん。
その時だった。その場にそぐわぬ、ふざけている様な声がしたのは。

「おーい海斗、その辺にしておけ。お前、キレると自分でコントロールできないだろ。 『過剰防衛』になりかねんからな。…ほれ、そこの兄ちゃんたち、そいつら置いてどっか行け」

「お……お兄ちゃんっ!!」

「栄治………」

「ほれ、さっさとしろ。俺が、優しくしてやってるうちに、な?」

笑顔で話してるけど、その笑顔が怖いよお兄ちゃん。
だけどこのチンピラさん方が大人しくきくはずない……。

「あ、そういえば俺、今先刻『けーさつ』に電話入れたんだっけかー。 2人の女性を拉致・誘拐しようとしている青年数名がいますーって。 …さぁて、お前らに残ってる道は何本でしょう?」

コレは説得とは言いません、脅しと言うんです。
でも警察の言葉が聞いたのか、男たちは文句一つ言えなくなってしまった。
この状況、どう見たってあっちが悪者だろう。

「くそっ…。皆、行こうぜ…」

やっと開放してくれたよ。あーよかった。
何となく、背中姿が虚しかった君たちの事は忘れないだろうよ。
……1週間ぐらい。

「おー馬鹿娘、無事だったか?」

「うん。別に怪我はしてないし。華南ねぇが強く掴まれてたから手当てした方がいいかも」

「あー…平気だろ」

そう言ってお兄ちゃんは親指で指した。
その方向を見ると、華南ねぇを海斗さんが強く抱きしめてる。
華南ねぇは少し泣いているようだった。
私とお兄ちゃんは、2人を残してそっとその場を後にした。
行く時に、華南ねぇの呟きみたいな声が聞こえた気がした。
『ありがとう……。助けてくれてありがとう…。…怖かった』と…。
少し、華南ねぇが、羨ましかった。





「……にしても。お兄ちゃん、なかなかのタイミングで来てくれたねー」

「あぁ。お前らを呼びに行った海斗の帰りが遅くて気になってな。 真昼だけが戻ってきたのも気になったし。したら案の定って奴だ」

何だ、真昼戻ってるのか。酷い、ずっと待ってたのに。

「それにしても、よかったなぁ、何事もなくて。 海斗があそこでキレてたら、もっと大変な事になってただろうなー」

はて、それはどういう意味なんだろうか?
不思議そうな顔で私はお兄ちゃんを見つめた。

「何だ?知らなかったのか?あいつ、柔道やら空手やら小さい頃からずっとやってるんだぞ?」

武道の腕は達人並だそうです。知りませんでした。
ただののほほんお兄さんじゃなかったんだ…。
そんな話をしているとキャンプの場所まではあっという間だった。

「あ、廉に栄治さんおかえり。あれ?姉さんと海斗さんは?」

『おかえり』じゃない『おかえり』じゃ。
君を待ってたおかげであーんな奴らに捕まることになったんですよー。
私の怒りに気がついたのか、真昼は『まずい』という表情を表に出す。

「いや、暇つぶししてたら道が分からなくなってさ。やっとの事でここに戻ってきたんだよ」

「ずーっと待ってたのに。……だからあんな奴らに捕まったのに」

「あーもう悪かったって。今度何か奢るから」

「………絶対だからね。イチゴでらっくすジャンボパフェで許してあげる」

真昼の肩がガクンと落ちた。はい、私の勝ち。





「おい。お前らもう飯……」

栄治は2人を呼びに先刻の場所に戻っていた。
でもそれ以上の言葉は紡げなかった。
海斗と、華南がキスをしていたから。
2人が付き合ってる事も、婚約した事も重々承知している。
自分も2人を祝福した1人だから。
だが、それなのに何故だろう。
……………冷たい冬の雪が降り積もるように、胸が痛かった。





2004.4.25